【カイツブリ通信 第4回】満腹と腹ペコ

2020.01.10

至近距離で観察できる水生物館のカップルは、カイツブリファンには有難い存在です。水中を自在に泳ぎ回り魚を捕らえる能力、それを可能にする体の造りの意味、子育てのようすなど、カイツブリの秘密をつぶさに観察できるからです。とくに驚いたのが、彼らが次から次に子育てを繰り返すことでした。そのため飼育係の人が巣に擬卵を入れ、彼らは子育てを許される期間以外は、写真のように、一年中それを抱いています。気候が安定し十二分な餌があれば、カイツブリはいつでも子育てができるのです。

餌不足の井の頭池のカップルがブルーギルの稚魚が捕れる冬に子育てをしたのは、柔軟な子育て能力のお陰だったのです。この冬その能力を使わなかった彼らは、3 月初めに子育てを始める兆しを見せたのに、その後食糧難におちいり、4月10日現在、まだ踏み切れないでいます。昨年の産卵は5月初めでした。この記事が出るころ、食糧事情は改善しているでしょうか。

田中利秋 井の頭かんさつ会

カイツブリとは…
得意の潜水で小魚やエビを捕まえる、小さな水鳥です。
池や川にカップルで縄張りを作って暮らし、子育てをします。

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(いのきちさん4号 2012年5月1日発行 掲載)