【私と井の頭公園 第29回】はな子さん ごめんなさい 鈴木啓子/NPO法人あきる野さとやま自然塾 勤務

2020.04.28

5月26日の午後、井の頭自然文化園のゾウのはな子が死んだ。夕刻のニュースで訃報を聞いたはな子のファンは、その日の夜、正面玄関や、ゾウ舎の裏手の市道までまわって別れを悲しんだ。翌日からはお別れに園を訪れる人が絶えず、ゾウ舎の運動場は花で埋まった。はな子には多くの熱心なファンがいるが、そのうちの一人「いのけん」1級認定の鈴木啓子さんに話を伺った。

私は、2008年頃から体の具合が悪くなり、結局手術をして、2011年6月から外出ができるようになったのです。以来毎週、府中からゾウのはな子を訪ね、井の頭池をぐるりと回るのが楽しみになりました。病の不安や、父の介護の問題も、はな子と会うと苦もなく乗り越えられてきました。自分のようにはな子に救われ、だからこそはな子に幸せになって欲しいと願ったファンは大勢いると思います。でも、私は寂しがっていないかと心配しては会いに行き、逆にストレスを与え続けたのかも知れません。亡くなる前日の25日は、習い事があったのですが、様子が気になりキャンセルしてはな子に会いに行きました。その日、嬉しそうにお客さんに甘えるはな子の姿を見て安心して帰られる方もいらっしゃいました。が、私ははな子の瞳から別れを予感しました。翌日のニュースには衝撃が走りましたが、前日の様子から受けいれることができました。

もう、はな子はいませんが、今まで通り好きな井の頭公園には行きます。いずれ、はな子のゾウ舎も無くなるのでしょうけど、ゾウ舎の前にある桜などの木は残して欲しいと思っています。はな子とともに生き、はな子を知っている木々ですから。

鈴木啓子 NPO法人あきる野さとやま自然塾 勤務
聞き手・写真 川井信良 株式会社文伸 代表取締役社長

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(いのきちさん29号 2016年7月1日発行 掲載)