【私と井の頭公園 第30回】都市の自然再生モデルとして注目 内山 香/東京都西部公園緑地事務所 工事課 課長代理

2020.05.05

井の頭池の2回目のかいぼり「かいぼり27」が3月に終わった。1回目のかいぼり「かいぼり25」では出来なかった、弁天池を含む全池のかいぼりが行われた。「かいぼり27」は、60年前に絶滅したと思われた水草イノカシラフラスコモの発芽など、改めて私たちにかいぼりの効果を教えてくれた。陣頭指揮を執った一人、内山香さんに話を伺った。

調布で育ち、虫を捕まえて遊んでいました。その影響かもしれませんが、東京の自然環境を守る仕事に関わりたくて都に就職しました。おかげさまで里山の保全事業に関わったりしながら、今に至っております。

ここ井の頭池が凄いと感じるのは、行政とNPOとボランティアさんの連携がしっかり出来ていて、地域の皆さんの意識がとても高いところです。当初かいぼりは池に捨てられた自転車が話題となりましたが、今では若いカップルが外来魚の話をしながら歩いているのです。そうした市民の皆さんのかいぼりに対する捉え方の変化を追い風にして、現場ではNPOの生態工房さんとともに、市民ボランティアのかいぼり隊との協力体制をしっかり築きながら、様々な困難を乗り越えてきました。

業者さんに外来魚の駆除を委託してしまうやり方もあるでしょうが、効果はその時だけのものになります。市民参加方式は運営のための労力が増えますが、比較にならないほどの効果があります。池を守るという思いが地域にずっと根付くのです。最近は作業をしていると「ご苦労様 ありがとう」と声をかけてくれます。池の変化を自分のことのように感じてくれる人が増えてきたのだと思っています。

イノカシラフラスコモなどの復活を目の当たりにして、私もとても感動したのですが、今度はこの水草が定着するような生育環境を守ることが目標になります。今、井の頭池は、都市の自然再生のモデルとして大変注目されています。死んでしまったと思われていた井の頭池ですが、実はしっかりと生きていたのです。

内山 香 東京都西部公園緑地事務所 工事課 課長代理
聞き手 川井信良 株式会社文伸 代表取締役社長

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(いのきちさん30号 2016年9月1日発行 掲載)