【私と井の頭公園 第32回】自然観察ができる井の頭公園は大変貴重 田中利秋/井の頭かんさつ会代表

2020.05.19

ここ10年、井の頭公園の生き物や生態系の関心が大きく広がった。その原動力の一つが2005年から始まった「井の頭かんさつ会」の活動である。当会は昨年12月で140回になる市民向けの観察会を開催しているが、06年からの井の頭池のエサやり自粛キャンペーンの立ち上げ、07年からの井の頭池の外来生物調査の参加と駆除活動、08年の井の頭外来生物問題協議会の発足に関わり、そして13年度から実施された「かいぼり」の参加など、10年に亘り井の頭公園の自然環境を伝え守る活動をしてきた。今号はこの井の頭かんさつ会を立ち上げた代表の田中利秋さんに登場していただいた。

福井県の武生で、田んぼと自然に囲まれた少年時代を過ごしました。信州大学の工学部を卒業し、東京に出て会社員になったのですが、自宅近くの井の頭池で、田舎の川にいたカイツブリを見つけ、驚きました。それがきっかけで野鳥観察に目覚め、やがて、夏休みに国立公園の戸隠(長野県)でボランティアの自然解説員をするようになりました。それで身に付いた観察眼で井の頭公園の生き物を見直したら、興味深い発見をいくつもすることができました。例えば、カイツブリはオスとメスが対等に生きていることが分かったのです。そのような継続観察は身近な公園だからこそ可能で、戸隠では困難です。都会の中にありながら、まとまった自然が残っている井の頭公園は大変貴重です。ここなら多くの人に自然の不思議さや面白さを伝えることができ、人間が及ぼしている影響についても考えてもらえるのではないかと思って井の頭かんさつ会を始めたのです。今では仲間も増え、毎回満員になるほど成長したのがうれしいです。

田中利秋 井の頭かんさつ会代表
聞き手・写真 川井信良 株式会社文伸 代表取締役社長

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(いのきちさん32号 2017年1月1日発行 掲載)