グラフ文伸 vol.11
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『吉祥寺今昔写真集』を通しての地元への協力、コラボレーションいまむかし2018年8月1日に発行した『吉祥寺今昔写真集』(詳細はP6)は、吉祥寺愛にあふれる地元の皆さまから多くの反響を頂戴しました。そこから下記の写真展やイベントとの協力、コラボレーションが生まれ、弊社も地域の中で多くの新しいご縁を得て、これまでにない役割を果たすことができました。「人」と「地域」の魅力を深掘りする情報誌『みたから』の制作三鷹駅の商業施設・アトレヴィ三鷹発行の地域情報誌『みたから』、そしてアトレヴィ三鷹と杏林大学との連携プロジェクトを、2016年からお手伝いしています。2017年2月発行の『みたから』第5号からは試行的に、より地域情報に重点を置いたタブロイド版のフリーペーパーとして発行されました。従来から携わってきた杏林大学との連携コーディネートに加え、地域に根ざした制作会社として、特集をはじめとした企画の情報提供やリサーチ、取材・撮影、そして編集・デザインから印刷まで、トータルに伴走させていただきました。2018年の主な出来事、業務実績のうち、武蔵野・多摩地域に根ざした取り組み、大学・教育機関のお客様との連携事例などをピックアップしてご紹介いたします。Events and Works 2018丸井吉祥寺店での「吉祥寺今昔写真展」監修者の髙橋珠州彦氏の講演会も2回開催!上 障がいのある方がつくるかばんや革小物など。三鷹駅北口に店舗も構える。右  食べあるきも楽しい。 下 「マルシェをきっかけに、実店舗にいらしたお客さんもいるんですよ」。左 第1回から皆勤賞。最初は3出店からのスタート。中 ママ友同士の出店も。「安心して出店できる」。右 マルシェ仕様に自転車を改造!ケーキは注文が入るまでになった。多くの人で賑わう中央通り。通行量は1日5,000人にもなるとか。上 使わなくなったおもちゃを持ってきて交換する。下 ワークショップに参加すると貯まるポイント でかえっこもOK。23左から、武蔵野タワーズ団地管理組合理事でむさしのマルシェ実行委員会の副会長でもある墨さん、実行委員会会長の河原さん、管理組合理事で、実行委員会書記の吉田さん。photo 鈴木智哉text吉永真由美(インタビュー部分)special thanks東京檜 (写真上・木の文字)昔ながらの商店街が広がる南口と、タワーマンションがそびえ建つ北口。それぞれの街で生まれた個性あふれる2つのマルシェ。愉快なヒトと魅力的なモノが集まる場所へ。さあ、あなたも出かけてみませんか?Rosemarybagel緑のテントが目印フェアトレード雑貨がたくさん!ものつくり工房hicobae着せ替えハウスPハンドメイド工房のんびりまいにち手作り工房 ラベンダーアツヲ飯かえっこまち「が」ほいくえんHatWorkこの街が好き場所 武蔵野タワーズスカイゲートタワー 公開空地(三鷹駅北口すぐ)開催 年に4~5回のペースで開催 主催 むさしのマルシェ実行委員会 協力 武蔵野タワーズ団地管理組合 タワーズマルシェ@むさしの次回は来年3月24日[日]開催INFO場所 三鷹中央通り(三鷹駅南口すぐ)開催 毎月第4日曜日(1~2月はお休み)主催 M-マルシェ実行委員会 M-マルシェ年内は11/25[日]・12/23[日]開催INFOとにかくみんなが楽しそうである。すでに顔なじみらしいお店のスタッフと話し込む人、『まち“が”ほいくえん』と書かれた旗の下で、カラフルなケン玉作りに夢中な子どもたち。あいにくの雨模様を気にする様子もなく“またここで会えることを心待ちにしていた”そんな笑顔が続々と集まってくる。マルシェの会場になっているのは、いまやすっかり北口のランドマークになっている超高層マンションの公開空地。建物に沿ってL字型に配置されたテントには、地元で頑張っている飲食店や雑貨店などを中心に、30組近くが出店している。毎回10店舗ほどは入れ替わるらしいが、焼きたてのベーグルやグルテンフリーのケーキ、フェアトレードの石鹸に、障害のある皆さんの作品を扱うお店など、こだわりいっぱいの顔ぶれが揃う。普段は飲食が禁止されているベンチも、このマルシェの日ばかりは特別で、ワインやビール片手に休日を楽しむご近所さんや、買ったばかりのパンをおいしそうに頬張る親子で賑わっている。そんな人混みを縫い、ひときわイキイキと走り回る3人がいる。むさしのマルシェ実行委員会会長でこの近くの自宅にアトリエを構える帽子作家の河原さんと、マンションの住人で管理組合理事の墨さん、吉田さんだ。「“反対”だけで終わるのは、 どうしても悔しかったのね(笑)」タワーズマルシェ@むさしの誕生の経緯は、実に面白い。いまでこそマルシェのリーダー的存在として、また地域の活動にも奔走する河原さんだが、本来群れるのは大嫌いな性分。それが打って変わって街づくりに熱心に関わることになったのは、約10年前に持ち上がったこの超高層マンションの建設計画がきっかけだった。「私は三鷹駅の北口の雰囲気が大好き。信号のないロータリーだけれどほとんど事故もないし、緑も多くて万事におっとり、要は落ち着いて暮らせる街なのね。だからどうしてもこの景観を守りたくて、マンションの高さを見直してもらう運動を始めたの」。しかしタワーズは計画通りの高さで建つことになる。普通ならここで挫折感を味わうところなのだが、河原さんの切り替えは早かった。住んでいる地域に関心を持たなければ、住民の望まない形の開発が進むとあらためて気付いた河原さんは「三鷹駅北口地区街まちづくり準備会」を地域の人びとと結成し、新しい住民である墨さんたちにも「一緒に街をよくしませんか?」と声をかけたのだ。「マルシェは地域の遊び場、  毎回いろんな発見を楽しんでます」一方の墨さんは“街づくり”と言われても、最初あまりピンとこなかった。“志”はあっても意見交換だけの活動では、成果を実感できなかったからだ。「でも北口に目玉イベントを作ろうと立ち上げた前身のマルシェが、開催場所探しに苦戦していると聞いたとき、このマンションの一角に大勢の人が来て賑わう光景がパッと浮かんだ。地域貢献、住民交流にも役立つし、管理組合にも相談し一緒にやってみよう!と河原さんたちにここでの開催を提案したんです」。「事前の準備は大変。でも、楽しい時間に また会えるからまた頑張れる」年に4~5回のペースで開かれるタワーズマルシェは、地域に住む子育て世代の受け皿にもなっている。不要になったおもちゃを交換できる『かえっこ』は毎回大人気。紙芝居やライブの上演などもあり、ここへ来たら一日安心して遊べる。とはいえ秩序を保つためには、運営側の相当な努力が必要だ。「開催にあたっては役所などの煩雑な手続きも多くあります」と吉田さんも微笑む。けれども、墨さんは目を輝かせる。「毎回打ち上げをするんですが、みなさんと話せるのは本当に楽しい。今後は武蔵野市などの協力を得て、かたらいの道を利用したイベントができないかって語り合ったりして」。北口住民が力が合わせてつくるわが街のマルシェ。夢は次々に広がっていく。墨さん吉田さん河原さんそれは作品発表の場を探していた、あるアーティストのひと言から始まった。「お店の定休日に、軒先を貸してもらえませんか?」。靴屋の若旦那は快く応じたものの思わぬことになった。「どうしたら私にも貸してもらえますか?」そんな問い合わせが相次いだのだ。当時、商店街では土日に休む店舗が増えて、何か対策を立てねばと店主たちが頭を突き合わせていたところだった。ならば受け皿を作ろう。それが月に一度(冬季を除く)三鷹中央通りを開放して開催されるM-マルシェの原点なのだ。「ここはモノづくりをする人の 応援団」実行委員会の広瀬さんによると出店条件は、商売のプロではないアマチュアであることと、商品が量産品ではないオリジナルであること。だから大好きなお人形の服を作っている人、自宅で焼いたケーキを自分でカスタマイズした自転車で売る人、オリジナルの絵本を読み聞かせる人、通りは思い思いの出店者であふれる。参加費用もリーズナブル。子どもたちがお小遣いで買えるよう、手作りしたキラキラの髪留めを駄菓子屋価格で売るママ友たちも、無理せず楽しんで夢を実現できるのだ。「縁石に番号をふるノウハウも 出店者さんが教えてくれました」通りを歩いていると顔なじみらしき出店者の女性の一人が、場所の割り振りを担当する中津川さんを笑顔で呼び止めている。「ダメじゃない、日程がかぶっちゃ。お客さん取られちゃうわよ」。どうやらこの日は近隣でも何かイベントがあるらしく、冗談まじりにお説教をされているのだ。「試行錯誤で 一緒にやるのがいいのね」その様子を見ていたWeb担当の相賀さんが笑う。「このマルシェは出店者もアマチュアだけど、運営側の僕たちも素人。プロに頼めばもちろんもっとスマートだろうけれど、皆さんに教えてもらいながらワイワイ一緒にやるのが、僕たちらしさなんだと思います」。中津川さんと相賀さんは、商店街ではお隣さん同士だ。八幡様のお祭りなど、小さな頃から共通の行事も多い。M-マルシェ実行委員の皆さんは、それぞれ年齢もバラバラだが、商売や地域の活動を通して連綿と繋がってきた“おたがいさま”の歴史がある。このマルシェの根底に流れている大きなやさしさは、きっとそんなことも関係しているのだろう。「出会いって、 夢があるでしょ!」 溜さん「それに楽しいことを発信していると“星マルシェ”や“防災マルシェ”のように、僕らには絶対に思いつかないような自主企画が持ち込まれることもあるんです」とジャンケンに負けて実行委員長になったという、商店街のムードメーカー溜さんが横から教えてくれた。「地域にとっていい企画なら、いつでもウエルカム!ぜひ、どんどん活用してほしいですね」。「この新たなつながりは、僕の財産」活性化イベントとして始めたM-マルシェだが、大いに“商売”に直結しているかというと、それはまた別の問題のようだ。しかし実行委員会のご意見番である芳賀さんは言う。「商店街で自分の商売だけをしていたら絶対に知らなかった世界を、僕はマルシェに来る若いお母さんたちからいっぱい教えてもらっています。『子ども食堂』の存在なんて、本当に考えさせられるでしょう?」。M-マルシェがもたらすたくさんの小さな変化と、ハッピーな連鎖が、三鷹中央通り商店街に未来を連れてくる。溜さん相賀さん広瀬さん中津川さん芳賀さん私たちの街へ、ようこそ。   タワーズマルシェ@むさしの|三鷹駅 北口|「ここはモノづくりをする人の応援団」「試行錯誤で一緒にやるのがいいのね」「出会いって、夢があるでしょ!」 「この新たなつながりは、僕の財産」商店街をみんなの場所に。M-マルシェ|三鷹駅 南口|M-マルシェ実行委員会の皆さん。左から広瀬さん、相賀さん、溜さん、中津川さん、芳賀さん。全員が中央通りに店を構える商店主だ。North | TOWERS marché @ MusashinoSouth | M- MARCHE#7What’s みたから ?この地域情報誌「みたから」は、“人と地域がつながる場所”でありたいというアトレヴィ三鷹の想いに賛同してくださった杏林大学の学生や地域の皆さまのご協力により制作しています。このまちの魅力、いわば“みたかの宝”をたくさん盛り込み、“みたかから”皆さまのもとにお届けします。人と地域をつなぐ情報誌free paper2018 Nov.-2019 Jan.マルシェで会いましょう●企画展「あなたの知らない吉祥寺」 2018年8月18日~9月4日 主催・会場:フランス菓子店 patisserie A.K Labo●企画展「吉祥寺と成蹊の100年     ~写真と古地図で振り返るその歩み~」 2018年10月1日より1年間(予定) 主催・会場:成蹊学園史料館●丸井吉祥寺店40周年感謝祭 「吉祥寺今昔写真展」 2018年10月11日~10月23日 主催・会場:丸井吉祥寺店●「吉祥寺今昔写真展」 2018年12月6日~12月11日 主催:吉祥寺今昔写真館委員会    一般財団法人武蔵野市開発公社 会場:武蔵野市立吉祥寺美術館地域大学大学地域8

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