私と 井の頭公園 |その11「湧水の復活こそ根本的改善」 杉田昇

2019.03.01

『いのきちさん』過去記事紹介(『いのきちさん』11号 2013年7月1日発行 掲載)
―2011年11月から2017年11月にかけて刊行された、井の頭恩賜公園100周年カウントダウン新聞『いのきちさん』。ご愛読くださっていた方々の声にお応えし、掲載当時の記事をご紹介していきます―

湧水の復活こそ根本的改善

杉田 昇 (武蔵野市在住)

 

004年に設立された東京吉祥寺ライオンズクラブは、設立記念事業として井の頭池の水質浄化運動を始めた。その事業を提案したのが、吉祥寺で生まれ育った杉田昇さん。

 

記念事業案は誰も反対しませんでしたよ。井の頭池がよみがえることは、皆が願っていることですから。ただこの事業は、ライオンズクラブが池の浄化をするのではなく、私達が行政に働きかけて、行政が本気になって浄化をすることを促す運動なんです。そんなことで、最初に行ったのが、「井の頭恩賜公園と七井池の水質浄化と在来魚種の復活に関する請願」を武蔵野市議会に出したことなんです。特に東京都に対し、「池の底が見えるまで池水を澄ませる事業」に取り組むよう意見書を提出して欲しいと書いたんです。

そんな動きを知ったのか、『井の頭かんさつ会』や『神田川ネットワーク』という市民グループとの交流も始まったのです。彼らも餌をやらない運動や外来魚駆除などの必要性を訴えていて、私たちが行政とのパイプ役になり、あの『エサやり自粛キャンペーン』が誕生したんですよ。

今まで、炭素繊維人工藻場(注1)を浮かべたり様々なことを行ってきて、それはそれで意義はあったんですが、残念ながら井の頭池の根本的な改善にはならないのです。私は湧水の復活こそが井の頭池の根本的な再生と考えています。とても大きな課題ですが、やっていきたいですね。小さい時、井の頭池から流れ出た清流に腰までつかり、ハヤやウグイを捕った頃の感動を次の世代に残したいですから。

(東京吉祥寺ライオンズクラブ 元会長)

 

聞き手・写真 川井信良

 

(注1)群馬高専の小島教授の指導による人工藻場。炭素繊維が水質浄化作用と在来魚の産卵を促す効果があると言われている。

私と井の頭公園 その11 杉田昇さん

※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。
(『いのきちさん』11号 2013年7月1日発行 掲載)


← その10「平凡な主婦を変えた餌やり風景」 大原正子

 

→ その12「暮らしているそばに自然が残されている幸せ」 高久晴子


*下記の画像リンクから、本号をPDFでご覧いただけます

井の頭恩賜公園100周年カウントダウン新聞 いのきちさん 第11号

井の頭恩賜公園100周年カウントダウン新聞 いのきちさん 第11号