井の頭公園の生き物たち|第5回「ソウギョ」

2018.01.23

『いのきちさん』過去記事紹介(『いのきちさん』5号 2012年7月1日発行 掲載)
―2011年11月から2017年11月にかけて刊行された、井の頭恩賜公園100周年カウントダウン新聞『いのきちさん』。ご愛読くださっていた方々の声にお応えし、掲載当時の記事をご紹介していきます―

背びれに注目!「巨大な鯉」は草魚かも

全長が1mほどもあり、しかも黄色なのでよく目立つ写真の魚、ほとんどの人は巨大なコイだと思うようです。でも注意深い人なら、背びれがコイよりずっと短いし、顔つきも泳ぎ方も違うことに気づくでしょう。

これはソウギョという中国原産の魚です。それを知っている人でも気づいてないのが、井の頭池には、本来の色である黒いソウギョもかなりいることです。私は目撃経験から、黄色と黒を合わせて10 匹ぐらいいると推定しています。

漢字で書けば「草魚」、草食専門の魚です。かつて繁茂した外来の水草を減らすために井の頭池に導入され、かなりの効果を上げたそうです。本来は中国の大河に棲み、卵は浮遊性で河を流れ下りながら2日ほどで孵化します。短い川だと孵化する前に海に達してしまうので、日本で繁殖しているのは利根川水系だけです。つまり井の頭池でむやみに増えることはないため、省力化の手段としては悪くない方法です。

ただし、役目が済んだら回収できるならです。今の井の頭池に水草(沈水植物)が1本もない最大の理由は、芽生えてもこの魚が食べてしまうからです。もっとも、図鑑にはソウギョの寿命は20年ほどとありますから、導入時の個体が生き残っているとは考えにくく、今いるものは、観賞用に飼っていた人が、大きくなりすぎたので池に放した可能性が高いです。水草がない池でソウギョが何を食べて生きているのか不思議ですが、池に落ちた木の葉や水面へ垂れた草を食べているのを時々見かけます。

井の頭池のかい掘りの際には、生態系への影響が大きく、要注意外来生物に指定されているソウギョは除去されることになるでしょう。今のうちに、背びれに注目して探してみてください。

 

田中利秋 井の頭かんさつ会
井の頭かんさつ会代表。毎月自然観察会を開催。池の外来魚問題にも取り組む。

 

本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。
(『いのきちさん』5号 2012年7月1日発行 掲載)

黄色いソウギョ

ヨシの葉を食べる黒いソウギョ


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