私と 井の頭公園 |その13「やっぱりデザイナーが常駐しているといいよね」 北村直子

2019.03.08

『いのきちさん』過去記事紹介(『いのきちさん』13号 2013年11月1日発行 掲載)
―2011年11月から2017年11月にかけて刊行された、井の頭恩賜公園100周年カウントダウン新聞『いのきちさん』。ご愛読くださっていた方々の声にお応えし、掲載当時の記事をご紹介していきます―

やっぱりデザイナーが常駐しているといいよね

北村 直子 (杉並区在住)

 

今から5・6年前頃から、井の頭自然文化園のポスターやリーフレット・企画展示がガラッと変わった。わくわくするセンスあるデザインに変わった。それは、陶芸家でデザイナーの北村直子さんの登場によるものだった。あの『いのけん』のロゴやバッジも彼女の作品だ。

焼き物の作家をしていたのですが、友達に、井の頭自然文化園でアルバイトをしないかと誘われたのです。ツシマヤマネコの企画展のパネルやパンフレットなどをデザインする仕事でした。ちょうど有田の窯元で焼き物の修行が決まった頃で、現地に行くまでの間ならと手伝うことにしたのです。制作は動物園事務所に常駐して、みんなでわいわい言いながら作ったのですが、これが新鮮で楽しかったんです。上司からも、「やっぱりデザイナーが常駐しているといいよね」と言われて、欧米では動物園専属のデザイナーがいることも知りました。その上司から、もう少し手伝ってくれないかと誘われたので、有田行きを少し伸ばして、次のお手伝いをしたのですが、結局そのままずるずると6年間、今に至っています。有田の窯元にはすみませんと(笑)。

井の頭自然文化園のいいところは、動物園なんだけど動物園らしくないところですね。動物も、象のはな子以外は地味な動物ばかり(笑)なんだけど、他の園には無い、ゆるやかな時間の流れを感じるんですよね。お客さまもマナーを守って目が肥えていて、これも他の園に無い良いところです。そういうところが魅力的で、そこで表現できる楽しさがあるから続けているのでしょうね。でも、動物園や動物にのめり込まないようにしているんです。ちょっと距離を置いていた方がいいと。なんとなくいいデザインができなくなるように思うのです。いまだにアルバイトでも良しとしていることも、安定からくる緩みを危惧するからかもしれませんね。

(井の頭自然文化園専属デザイナー・きたむらなおこ)

 

聞き手・写真 川井信良

私と井の頭公園 その13 北村直子さん

※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。
(『いのきちさん』13号 2013年11月1日発行 掲載)


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井の頭恩賜公園100周年カウントダウン新聞 いのきちさん 第13号

井の頭恩賜公園100周年カウントダウン新聞 いのきちさん 第13号