【井の頭公園の生き物たち 第11回】 ブルーギル

2019.06.14

「いのきちさん」過去記事紹介(いのきちさん11号 2013年7月1日発行 掲載)
―2011年11月から2017年11月にかけて刊行された、井の頭恩賜公園100周年カウントダウン新聞「いのきちさん」。ご愛読くださっていた方々の声にお応えし、掲載当時の記事ご紹介していきます―

ワースト・コンビネーション

元々の名前は「ブルーギル・サンフィッシュ」。ギルとはエラのことです。原産地の北米に類似のサンフィッシュが数種類いる中で、エラぶたの突き出た部分が青黒いのが特徴です。日本にいる全てのブルーギルは平成天皇が皇太子だった1960年に、当時の食糧難を解決する一助にと米国からもらってきた15匹の子孫であることがDNA解析で明らかになっています。この魚を食べる習慣は根付かず、しかし釣りブームで全国に広がってしまいました。

複数のオスが隣接して産卵床を構える繁殖コロニーを作ります。メスはバスよりも多くの卵を産みます。井の頭池では5月中旬から産卵が始まり6月の初めごろがピークですが、9月ごろまで続きます。主に砂礫底に産卵床を掘りますが、バスより場所の好みが緩く、コロニーを破壊しても別の場所に作るし、産卵期が長いので、繁殖を阻止するのは困難です。食性が広く、植物も小動物も食べます。とくに魚の卵を好むので、在来の魚が増えられなくなります。井の頭池では全長23.5cmぐらいになり、大きな個体は在来種の稚魚やエビも捕食します。

原産地でオオクチバスと共存してきた魚なので、バスに全滅させられない特性を進化させています。上記に加えて、速い逃げ足、呑み込まれにくい高い体高と背びれの鋭いトゲなどです。そのため、バスと一緒に放流することがバス釣り業界で推奨されたことがあります。在来種を食べつくすとバスは減ってしまいますが、何でも食べるブルーギルがいればバスは生存でき、いつまでもバス釣りができるからです。バスは捕食しやすい在来生物を先に食べるので、残るのはこの両種と、バスの口に入らない大きな魚だけです。
こんな結果になり、生物学者でもある陛下の心痛はいかばかりかと想像します。早急に解決すべき問題ですが、ブルーギルが特定外来生物に指定されてから7年以上経つのに、いまだにそのことを知らない人が少なくないのが残念です。

田中利秋 井の頭かんさつ会
井の頭かんさつ会代表。毎月自然観察会を開催。池の外来魚問題にも取り組む。

本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。
(いのきちさん11号 2013年7月1日発行 掲載)

産卵床のブルーギル