井の頭自然文化園の動物たちと飼育員|その2「ツシマヤマネコと佐々木真一さん」

2018.11.27

「いのきちさん」過去記事紹介(いのきちさん21号 2015年3月1日発行 掲載)
2011年11月から2017年11月にかけて刊行された、井の頭恩賜公園100周年カウントダウン新聞『いのきちさん』。ご愛読くださっていた方々の声にお応えし、掲載当時の記事をご紹介していきます―

ツシマヤマネコは長崎県対馬だけに70もしくは100頭が野生で生息し、10年で1割ずつその数を減らしていると推測されています。32頭が国内10ヶ所で保護され、そのうち7施設で繁殖を行っており、井の頭自然文化園はその1つで、3頭が暮らします。

生まれて6ヶ月もしたら親元を離れ、オスもメスも単独行動をするツシマヤマネコは、カップルになるのがとても難しいそうです。ちょうどバレンタインデーのころが発情の時期ですが、低い声で鳴き合うなどの発情行動を人前では見せないので、仲人役の飼育員の気苦労は尽きません。「仲が良ければ夜間同居させられるのですけれど……。ケンカし始めたら、私がほうきを持って割って入るんです」と佐々木真一さんは苦笑い。 井の頭ではまだ赤ちゃんが生まれたことはありません。

昼間、とくに天気のいい日は、小屋のお気に入りの場所でじっとしているのがツシマヤマネコの習性。「リラックスする姿がかわいいので、それを見て癒やされていただければ」。ツシマヤマネコは繁殖を目指し展示を休止していますが、同じ仲間のアムールヤマネコも同じようにいつもじっとしています。

 

取材:小田原 澪(おだわら みお) 編集者・ライター。フィールドは多摩。三鷹市在住

 

※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。
(いのきちさん21号 2015年3月1日発行 掲載)


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