井の頭自然文化園の動物たちと飼育員|その9「アカゲザルと久保田夕紀子さん」

2018.12.21

「いのきちさん」過去記事紹介(いのきちさん28号 2016年5月1日発行 掲載)
―2011年11月から2017年11月にかけて刊行された、井の頭恩賜公園100周年カウントダウン新聞「いのきちさん」。ご愛読くださっていた方々の声にお応えし、掲載当時の記事をご紹介していきます―

風貌こそニホンザルに似ていますが、アカゲザルはインドや中国に生息。体がひとまわり小さく、しっぽは倍の長さの25cm あります。

仔ザルは遊び好きで、走り回ったり、高いところから水場に飛び込んだり。大人は食べるか、寝るか、毛づくろいをするか。サル山には19頭が群れで暮らします。

ケンカにケガはつきものですが、「できる限り自然治癒させています。群れから離して治療すると、群れに戻したときに新参者になってしまう。そもそもケンカが弱い子ほどケガをするんですから」と飼育員の久保田夕紀子さん。

飼育の工夫はエサやりにも。野生のアカゲザルは一日の大半をエサ探しに費やしますが、動物園のサルはエサが十分に与えられるため、暇を持て余しがちです。そこで「エサの総量は毎日同じですが、回数や時間、与える順番などを日によって変えています。動物が身体的、精神的に満足して楽しく過ごせるような取り組みを『環境エンリッチメント』と言います」

サル山をぐるりと取り囲む桜は、花びらや枯葉を大量に落とし、「いくら掃除しても追いつかない」と久保田さんの悩みの種。秋にはその落ち葉にエサを隠して、サルがエサを探すように仕向けます。さらに5月ごろには毛虫も降ってきて、意外や意外、雑食のサルの好物なのだとか。これも、環境エンリッチメント?

 

取材:小田原 澪(おだわら みお) 編集者・ライター。フィールドは多摩。三鷹市在住

 

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(いのきちさん28号 2016年5月1日発行 掲載)

 


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