井の頭自然文化園の動物たちと飼育員|その5「ニホンリスと髙松美香子さん操るトチの実の魔力」

2018.12.07

「いのきちさん」過去記事紹介(いのきちさん24号 2015年9月1日発行 掲載)
2011年11月から2017年11月にかけて刊行された、井の頭恩賜公園100周年カウントダウン新聞『いのきちさん』。ご愛読くださっていた方々の声にお応えし、掲載当時の記事をご紹介していきます―

夢中でえさをかじっていると思えば、追いかけっこするように駆け抜ける。そんなニホンリスの素のままの姿が見られる「リスの小径」は、井の頭自然文化園の人気のスポットです。いつもは活発なリスたちも、夏の盛りは様子が違います。枝に抱きついて、ともすると落ちかかったり、地べたにうつぶせになったり。「暑い時期はだらっとしていて、いつも以上に“まぬけ感”があります」と飼育員の高松美香子さん。

えさを隠すという習性でも、ときおり“まぬけ感”が現れるのだとか。「隠したえさを他のリスに盗られることもあるんです。ふかし芋をえさにしたときは、隠そうとして巣箱の隙間に塗り付けてしまって。土壁を塗る左官屋さんになったのかと思いました」と大笑い。

ニホンリスは本州や四国に生息し、武蔵野でも数十年前までは見られました。シマリスのようなほお袋を持たず、すっきりした顔立ちです。繁殖期は1月から8月と長く、1年に2回出産するメスもいます。

大好物はもちろんクルミ。でも意外と雑食で、野菜やドッグフードも食べます。子育て中のお母さんは、煮干しや殻付きゆで卵をせっせと食べて、カルシウムを補給。成長期の子どもたちは、動物性たんぱく質を好んで食べます。

 

取材:小田原 澪(おだわら みお) 編集者・ライター。フィールドは多摩。三鷹市在住

 

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(いのきちさん24号 2017年9月1日発行 掲載)


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